― バリ島・祈祷師への突撃取材 ―
なぜ、その取材をしようと思ったのか
2024年、インドネシア・バリ島。
熱帯特有の空気の中で、突然降り出すスコールは、この島の日常だ。
「雨が降るから仕方ない」
そう受け止められる一方で、バリ島には古くから
“雨を避けるための祈り”を行う祈祷師がいるという話がある。
それは迷信なのか、信仰なのか、それとも——
確かめずにはいられなかった。
私はカメラを持って、その祈祷師のもとへ向かった。
― 祈りの現場で見たもの ―
取材当日、空は今にも崩れそうな重たい雲に覆われていた。湿った風が吹き、雨が降る条件は揃っている。祈祷師は静かに、淡々と準備を始めた。大きな動作も、派手な儀式もない。あるのは、自然と向き合うような、落ち着いた所作だけだった。
やがて祈りが始まる。
不思議なことに、さっきまで今にも降り出しそうだった空から、雨は落ちてこなかった。偶然かもしれない。
そう思おうとしたその時、周囲の人々は誰一人として驚いていなかった。
「いつものことだよ」
そんな空気が、そこにはあった。
この取材で私が強く感じたのは、信仰の是非ではなく、自然との向き合い方だった。
雨を「制御する」のではなく、雨と「対話する」。自然を敵にせず、恐れすぎず、ただ敬意をもって接する。
その姿勢こそが、バリ島の人々が長い時間をかけて育んできた文化なのだと感じた。

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